台風15号の猛威が差し迫った時、これはヤバい!と思って何を準備しようと考えました。最大瞬間風速60m?!!、なに~っという感じで、これは停電になるんじゃないかと思ったのですが、最早、上陸の2時間くらい前になってしまっておりました。
懐中電灯は?と探してみましたが、買った記憶がないのであるわけないです。見つかったのはその昔、オタクご用達のペンライト試作機、まだ点くのかなと電源スイッチをON、ライトを調整するボタンを操作するとぴっかぴっかに現役でした。ボタンを順番に押すと、色が変わり、2つ同時に押すと自動で色がローテーションして変化します。
しばし見とれていましたが、台風の前触れの、激しい雨脚に我に返り、ペンライトを枕元に置き、いつもみたいに大したことなく通り過ぎてくれよと祈りつつ、横になりました。
夜中の風の強さは半端なく、恐怖すら感じたのと、うるさくて眠れぬ一夜をすごしました。朝になり交通状況を確認しましたがやはり電車は動いておらず、やっと会社に出勤できたのは昼少し前でした。
そんなわけで、以前にペンライトのマイコンに書き込むための基板はこのペンライトの試作品を作成した知人に引き渡してしまったので手元になく、ちょっと興味がわいたので、また作ってみようと思い立ちました。プログラムを少しいじって遊んでみようと。
当時の記憶を頼りに、しまい込んであったはんだ付けの工具と、残った部品を引っ張り出してきて、ネットで検索して見つけた回路図を頼りに作成しました。最近IoTを利用した電子工作なども流行っているので、初心者の方にも参考になればと思ってまとめてみましたので興味のある方は参考にしてみてください。
電子部品ならこちら→秋月電子
目次
- おたく必見!~自分で書き込むマイコンプログラムでピッカピッカ!~
- WINGONEER対応Atmel AVR ISP MK2 MKII ATMEL AVRプログラマUSB AVRISP XPIIインシステムプログラマ
- 3.基板に実装・配線とはんだ付け
- 4.配線チェック
- 5.ソフトをダウンロード
- 6.書き込み実行
- 8.動かしてみる
- 9.まとめ
おたく必見!~自分で書き込むマイコンプログラムでピッカピッカ!~
1.必要な工具あれこれ
初めに考えたのはブレッドボードにパーツを配置してジャンパ線(リード線)をつなげて配線し、はんだ付けをしなくて済むように作ることですが、何か味気なく、まあ本来は別の理由がありますが、私は中学生の時に作ったトランジスタラジオを思い出し、はんだ付けで作ることにしました。
半田ごて
100V、30W程度のもので全く問題ありません。大きな部分の半田付けはありませんから。100円均一のお店でも売ってます。
ちなみにこれはメーカーは大洋電機産業で型番はKS-30Rです。880円で売ってました。
ニッパ、ラジオペンチ、ジャンパ線、糸ハンダ
ワイヤーストリッパー
これは線材の皮むきですが、プライヤーとしても使えます。
ワイヤーストリッパーはなくなってしまったので2種類、アマゾンから購入しました。
両方とも1300円でした。
左はYS-2で対象の線材の径はΦ0.25mm~0.8mm
右はYS-3で対象の線材の径はΦ0.8mm~2.6mmです。↓
今回使用する線材はΦ0.4mmでしたのでYS-2を使用します。
はんだ吸取線
これはあると結構便利です。一度はんだ付けしてしまったところのはんだをとったりすることができます。顔の油をとる油紙みたいなやつですね。網目状の薄い金属板、包帯みたいなものです。
吸取りたい箇所にこの線をあてて上から、はんだごてで温めると沁み込むようにしてはんだが取れます。
デジタルマルチメータ
これはいろいろ使い道があり便利です。メーカーはSANWAで型番はPM3です。
交流、直流の電圧はもとより、回路の導通チェックや、抵抗値の測定など幅広く使えるので一台は持っておきたいですね。いくらだったか忘れちゃったので調べてみたら、モノタロウの通販で3490円で売ってました。
ユニバーサル基板
これはいろいろな大きさのものや、何層か組み合わされたものもあります。こちらは一番シンプルな2層基板です。
注意しなければならないのは4層基板(電源、アースがそれぞれ1層ずつ重なっているもの)です。
大きさなどを適当なサイズに切り出した時、例えば糸鋸などで切った場合ですが、隣のスルーホールと接触し、電源とアースがショートしてしまうケースがあります。
このため、カットした場合などは先ほどのマルチメータなどでショートが発生していないか確認することが重要ですね。
そのままの状態で部品を半田付けして制作し、電源をオンした途端にICなどのパーツから煙が出て焼損してしまうこともありますから要注意です。
その点2層基板はちょっと不便ですが、この手の煩わしさはほとんどありません。
別の手持ちの カットした基板部です。↓
下のところが切れ目ですが、スルーホールが半分になっていますね。この金属箔は裏面とスルーホールでつながっているのですが、これがスルーホールの内部で隣のものと接触するとショートするわけです。
4層の場合は遠く離れたスルーホールでも電源の層は全て繋がっているわけですから、回路を構成する場合は電源をすぐ近くのスルーホールから取れたりするのでとても重宝ですが、いったんショートしてしまったりするとこれを回避するのがとても厄介になりますから要注意ですね。グランド(アース)も同じです。
今回使ったのはもう一つあった2層基板です。↓
上の基板の裏面は下のところに信号の入出力用のような接点のようなものがついているので何か共通のラインを使うときに便利かなと思って使うことにしました。また本来は違う目的だと思いますが。
2.回路図と部品類について
今回は以前に使用した配線チェック用の手書きの回路図があったのでそれをそのまま使って作ることにしました。
まず部品を確認です。必要な部品はというと、
・電源部
スライドスイッチ・・・・・・・・1個
単4乾電池1.5V・・・・・・・・・1個
電池ホルダー・・・・・・・・・・1個
コイル100μH・・・・・・・・・・1個
ショットキーダイオード IS10・・1個
電解コンデンサ47μF・・・・・・・1個
電解コンデンサ100μF・・・・・・1個
DC/DCコンバータ HT7750A・・・1個
こちらで部品はそろいます→秋月電子
・AVRマイコン書き込み部
AVRマイコン ATtinny13A・・・・・・・1個
積層セラミックコンデンサ0.1μF・・・・・・1個
抵抗47KΩ・・・・・・・1個
ICソケット・・・・・・・1個(これは既存のものをニッパにてカットして使用)
AVRISP MKⅡ・・・・・・・1セット
こちらのAVRISP MKⅡですが、
アマゾンに在庫があったので注文しました。商品名が
WINGONEER対応Atmel AVR ISP MK2 MKII ATMEL AVRプログラマUSB AVRISP XPIIインシステムプログラマ
って書いてあるのですが、2つの商品名なのか、途中で切れるのかわかりません。まあ注文すればいいかってことで注文し、届きました。2,499円でした。(送料無料)
PCとつなぐUSBケーブルも付属してます。
前の作成の時に使用したものは書き込み用プログラムのAVR Studio 4のみ対応でしたが、今回のものはAVR Studio 4/5/6/7をサポートということです。
「WIN10をサポートしていますが、WIN10を使用する場合は、AVR Studio> 7をダウンロードしてください」と説明がありました。
私のPCはWIN10なので実際に使用するときはAVR Studio7をダウンロードして使うことになります。
抵抗・コンデンサ・コイル・DC/DCコンバータなど
足りない部品は秋月電子の通販で購入しました。
AVRマイコン
AVRマイコン ATtinny13Aです。↓
黒いスポンジのようなものにピンが刺さっているのですが、このスポンジのようなものは保護する目的もありますが、ピン相互を同電位に保つ働きもあります。
静電気などで素子を破壊しないようにするためです。同電位に保つということは余計な電流が素子の中を流れないようにするということです。
ICソケット
これはいちいち買うともったいないので有るものをニッパで切ってつかいます。こんな感じです。AVRマイコンは8ピンですが、多くても、対象じゃ無くても問題ありませんから。↓
左側のものはAVRISP MK2からのケーブルを差し込むためのソケットオス側ピンですが、これも6ピンだけにカットします。右側のものはもともと20ピンのICソケットをカットした切れ端です。8ピン分使います。(4ピン×2列)
3.基板に実装・配線とはんだ付け
さて、必要な部品もそろったので次は用意した2層基板に実装していきます。
基本は配線をなるべく短めにして引き回しを避けることと、はんだ付けの際に電源ラインや、グランドライン(アース)は太めのラインにしてなるたけ抵抗を少なくするように配置します。
部品点数も少なく、ほとんどピンのリード線をそのまま使ってはんだ付けできそうなので、あまりジャンパ線の出番はなさそうです。まず仮に配置してしまいます。↓
あとは4隅にボルトナットの寸法のあうものを買って浮かせるつもりです。
この状態で部品が落ちないように仮止めのはんだ付けをして固定します。電解コンデンサやショットキーダイオードは向きがあるので要注意です。
ジャンパ線は下のように適当な長さに切って先をからげられるように曲げておきます。
ちょっとピンボケです。すみません。
今回は部品点数も少なく基板も小さいですからジャンパ線の付け方もこのようになりましたが、実際はもう少し細いジャンパ線(流す電流も考慮して)で切る前にピンにからげてつなぐ先に絡めてはんだ付けし、余りをカットするようにします。
そして完成したのがこれです。↓
あまり綺麗じゃないです。電池ボックスは両面テープで、基板を浮かせる足は見本が右にあるように100円均一で買った何か物をぶら下げる金具です。
とにかく裏面の剥き出しになっている配線がショートしないようにするためです。なんでもいいと思います。
金属のスタッドなど使用するときはこのようにもともと穴が空いていてスタッドの径が入るサイズであればいいのですが、4層基板などを使って穴をあけて使用するとこなどは金属ですからスルーホールの中でショートしたりしないように気をつけないといけませんね。
4.配線チェック
冒頭に出てきた回路図にあるピンク色のチェックマークを青色に変えて各ピンの接続を確認し、電源を入れました。DC/DCコンバータの出力電圧を計ると4.98Vの表示でしたので大丈夫ですね。
5.ソフトをダウンロード
Win10対応の AVR studio 7をダウンロードします。
マイクロチップのサイトからダウンロードし、インストールしました。
そして起動確認しました。↓
6.書き込み実行
書き込み前にAVRISP MK2のデバイスがWIN10で認識されているかを確認しました。
青いLEDが常時点灯し、赤いLEDが点滅する状態です。
デバイスマネージャー上から確認できました。
次の流れですが、C言語で書かれたプログラムをAtmel Studio 7.0に読み込み、コンパイルしてから書き込み実行する必要があります。このソフトの使い方を調べる必要があります。
調べたところ、プロジェクトを新規で作成しC言語のソースコードを入力してからビルドしてエラー無く完了したら、ツールからAVRISP MK2を選択して書き込みを実行すればOKです。
作成した基板の電源を入れ、USBケーブルをPCに接続したところです。
先ほどはターゲットが接続されていなかったので赤のLEDがAVRISPに点灯していましたが、緑色に変わっています。正常に認識されている状態です。
早速Atmel Studio7を起動して実行しました。
上記の2行目の項目を選択後、次に進み今回使用したデバイスATtiny13Aを選択してから、ソースコードを入力してビルドを実行します。エラーが出たらエラーを修正して再ビルドする必要があります。
C言語のプログラムはネットで検索し、作成した人がいたので使わせていただきましたのでここでは載せません。
8.動かしてみる
実際に上のボタンを一回押すごとに色が変化して、7色あります。2つ同時に長押しすると色がローテーションします。知人の作成した試作機ですから、光が筒全体に均等にとはいきませんが、なかなか綺麗です。
ここでは綺麗な色だけ載せておきます。画像サイズがまちまちですみません。
9.まとめ
今回は台風をきっかけにしてペンライトを思い出して、またいじってみようと思って書き込み用のライター基板を作ってみました。
昔の資料を引っ張り出して記憶が蘇らず、どうしてこうしたんだろうとか疑問がふつふつ・・・・という状態でしたが、なんとか作れました。細かい作業なので目をシバシバさせながら作りました。
やっぱりはんだ付けは結構面倒で、ブレッドボードにしておけばよかったとも思いましたが、出来上がってみると何か愛着がわいてきますね。工作したという感じです。
また、C言語も少し昔かじりましたが、またちょっとアレンジしてやってみようかなとも思います。
いろいろな物を電子工作で作ってみるのは、理屈はわからなくても楽しいものを自作するという楽しみ方もあります。つまり楽しみの横展開ですね。
また、例えば今回の場合、DC/DCコンバータを使用して1.5Vを5Vに昇圧して電源供給していますが、コイルのインダクタンスの決定や、流れる電流値など深堀して自分で考えて設計してみるということも楽しみの一つです。
理屈がわかって、なるほどと納得して作って回路が動作すすればこれほど楽しいことはありません。現在では回路シミュレータも本の付録や、ダウンロードで入手できますから、知的な趣味としては最高だと思います。
私は台風がきっかけでしたが、皆さんも押し入れの中に昔、何か情熱を込めたものが埋まっているかもしれませんから暇なときに開かずの間を開けてみたらいかがでしょうか。