生まれて物心ついてから宇宙のことにずっと興味がありました。勿論SFも好きでしたから、H.G.ウェルズ、ジュールベルヌなど古典の名作と呼ばれるものはほとんど読みました。
中でもウェルズの「タイムマシン」は氏の類まれな発想力に驚かされ、冒頭の出だしの文章は痺れるほどに感動しました。小さいときに夜寝る前に身も心もリラックスして、お伽話を親から話してもらうときの新鮮でワクワク、ドキドキが止まらない状態です。
ちょっと横道にそれますが、タイムマシンの小説に感化され、亡くなった父を過去に戻り過去を変えて父を生かそうと、タイムマシンを作るために大学教授にまでなった人がいます。マレット博士がその人です。
レーザー光を用いたタイムマシンの実用機を開発したマレット博士が打ち立てた簡潔で美しいタイムマシンの方程式にも感動しました。そのうち映画化されるということです。
博士の自伝とも言えるこの書では父への愛情と取り巻く家族や恋人、自身の葛藤そして実用的なタイムマシン開発までの長く、それでいて飽きさせない物語がとても読み手を感動させます。是非手に取って読んでみてください。勿論実用的とは言っても素粒子レベルのお話です。
このタイムマシンの理論はブラックホールが最近初めて画像として捉えられてから、にわかにブラックホールやホワイトホールを題材としたタイムマシンの話題を再燃させ、インターステラーなどのSF映画の題材にも使われています。
ロケットは中学生のころ興味があり、ロケットの父と言われたフォンブラウン博士や他の科学者が提唱していたいろいろなロケットの推進原理を解説した本を購入して読んだものです。
核爆発を推進力にするものや、光子を推進力にする光子ロケットなどとても興味深かった記憶があります。この光子ロケットに相当する光凧のようなものが後で出てきます。最初は理論だけだったのが2、30年の時を経て現実のものとなりました。
ただ、私はNASAのサターン式ロケットも大がかりで爆発や燃焼させて推力を得るものが原始的に思えてロケットには興味をあまり持たなくなってしまっていました。
しかし、ひさびさにホリエモンのロケット成功やイーロンマスク氏の火星移住計画など現実味を帯びてきて、その熱意と実行力に感じるものがあり、まあ重力制御などの夢はさておいて現実的なものを再度見直してみようかなと。それがJAXA見学のきっかけです。
遠い昔、一度は宇宙の不思議を考えたけど、ずっと忘れてたなんて人も、今まさに興味ありって人も、現在の科学の粋を集めた技術がJAXAには詰め込まれています。そんなJAXAへの道案内をさせてもらいますので、まだ一度も行かれたことのない方は是非足を運んで宇宙を感じて欲しいと思います。
ちなみにJAXAとは「Japan Aerospace Exploration Agency」の略で、日本語の正式名称は「宇宙航空研究開発機構」です。
全国にあるJAXAの施設ですが、今回紹介するのは相模原キャンパスです。
目次
地球も浮いてる・月も浮いてる・宇宙って何だろう?そして人間って?????∞
1.宇宙科学研究所入り口
いつでも見学ウェルカムです。↑
守衛さんがいるので「見学です」と伝えて入ります。簡単に案内してくれます。
イベントを行っている期間は見学できる棟も増えますが、通常は「宇宙科学探査交流棟」のみとなります。また、平日は宇宙研生協や食堂など入ることができますが、土、日、祝日の休みは宇宙研生協や食堂の利用はできませんご注意ください。
また、休館日は月によって異なりますのでご注意ください。詳しくはJAXA公式ホームページをご覧ください。
宇宙科学探査交流棟の案内版の手前から撮影したものです。この入り口の手前に実寸大のロケット(冒頭の写真)が展示されています。 ↓
交流棟に入ると受け付けで名前や、時間を記入して見学者証のシールがもらえます。バッグに貼りました。
2.宇宙科学研究所(JAXA)のしていること
イトカワに搭載されたエンジンはイオンエンジンといわれ、今までの化学推進のエンジンではなく、電気推進のエンジンとなっています。効率が大分違いますし、スピードも大きく異なります。↓
<リュウグウの探査>
今回「はやぶさ2」では「はやぶさ」の技術を生かしながら、太陽系の起源・進化と生命の原材料物質を解明するため、小惑星リュウグウの姿を様々な角度や方角から撮影しました。下の画像はこの時使用されたミネルバ2-1といわれる太陽電池で動作するカメラです。
「はやぶさ2」が目指すC型小惑星はS型小惑星のイトカワと比べるとより始原的な天体で、同じ岩石質の小惑星でありながら有機物や含水鉱物をより多く含んでいると考えられています。
地球をつくる鉱物、海の水、生命の原材料物質は、太陽系初期には原始太陽系星雲の中で密接な関係を持っていたと考えられており、始原的な天体であるC型小惑星から採取したサンプルを分析し、太陽系空間にあった有機物や水がどのようなものであったのか、またどのように相互作用し共存してきたかを探ることで、生命の起源にも迫ることができると期待されています。(JAXA公式ホームページより抜粋)
その他、月面探査機「かぐや」は月を周回してハイビジョンカメラにより多くの鮮明な画像を送ってきました。
また、金星探査機「あかつき」は金星の大気の謎に挑むべくカメラ画像を送ってきていましたが、現在制御機器が不安定のため観測休止となっているとのことです。復旧をまだあきらめず努力していくということです。
宇宙のあちこちでいろいろな探査機が活躍してますね。
宇宙工学の研究
宇宙科学の研究の中に宇宙工学の研究という分野があります。これは研究のためにツールとしていろいろな機器やロケットを開発しないとならないため開発がすすめられているものがいろいろあります。
その一つが液体水素エンジンです。↓
見るからに複雑な機構です。これがロケットの推進力の源になります。
再利用ロケットの研究も重要なものです。莫大な費用のかかるロケットを使い捨てではなく、再度利用可能にするための研究も行っています。↓
このRVT-9が宇宙と地球を行ったり来たりするわけです。
MVロケット(多段式ロケット)の3段4段部分も展示してあります。この中にはやぶさを格納して宇宙に送り込んだわけです。
また、冒頭でお話しした光子ロケットの発想を実現したのが「イカロス」です。
直接に太陽光を推進力にするソーラーセイルが「イカロス」です。はやぶさで使われているイオンエンジンは太陽光を電力に変換して推進するエンジンです。いわば間接的に太陽光のエネルギーを使っているわけです。
ソーラーセイル「イカロス」紹介パネル↓
3.体験コーナー
ちょうど私が展示品などを見て回っているとき、子供2人が夢中でシミュレーターを操作していました。わき目もふらずに。
何のシミュレーターかといいますと、「はやぶさシミュレーター」です。ミッション終了後、終了証がもらえます。子供には嬉しい企画ですね。
4.ちょっとしたエピソード
井出治氏のJAXA訪問のこと
フリーエネルギーの研究家である井出治氏がJAXAに行ったとのこと。理由は月面探査機の「かぐや」がハイビジョンカメラで撮った月の裏側の動画を何故全部国民に見せないんだと。
居合わせた所員に聞いたところ、「なぜでしょうね。見せられない何かあるんじゃないですか」との答え。何とも腑に落ちない氏はこれ以上言っても埒があかないので帰ったそうです。
確かにこの時期に丁度、はやぶさ2の打ち上げが同時期にあり、「かぐや」の話題はあまりでなくなり、はやぶさ2に皆の視線は集まりました。これが策略だとは言いませんが、月の周回画像を私も全部見てみたいです。
なぜ、そういった声をあまり聞かないのでしょうか。不思議でたまりません。
アポロは月に行ってないという説の理由の根拠の一つ
宇宙科学研究所とは直接関係ありませんが、有名な話題を一つ。
いろいろテレビ番組でアポロは月に実際は行っておらず、どこかのスタジオで撮影したものだという説があります。
根拠の一つに地球を取り巻く放射能帯であるヴァンアレン帯を通過しなければ月に行けないのですが、その強烈な宇宙線を避けることはできず人体が耐えられないとか、計器類が狂ってしまうとかという説がありました。
そんなヴァンアレン帯とか、地球の磁気など解説した資料もあります。
種子島宇宙センターに勤めていた人の話
私が以前勤めていたドコモショップの店舗で種子島のロケットセンターから何年かぶりに座間の地元に戻ってきた方がいらっしゃいました。
その方は長きにわたりロケット発射の制御関係の仕事に携わっていたため携帯の使い方などほとんど知らず、やり方がわからないので教えて欲しいということで来店されました。
最近では宇宙のことなど依頼されて講師として学生などに話しているそうでした。話しているうちに、ロケットの自動制御のことに話がおよび、打ち上げに失敗した場合は安全なところに落ちるように制御するのだとおっしゃってました。
そうですよね、下手なところに落ちたら大変な災害になってしまいますから。
5.JAXA相模原キャンパスの場所
私の場合、たまたま隣にありました。20m程歩いて道路に出ると、もう建物が見えてますね。もっと早く行けば良かった!
宇宙科学研究所の相模原キャンパスの所在地や案内を下に示します。
〇住所:〒252-5210
神奈川県相模原市中央区由野台3-1-1
6.イベント
展示解説ツアー
宇宙科学探査交流棟内の展示と屋外のロケットなどをガイド付きで見学できます。一時間程度になりますが、予約不要で開始時刻までに交流棟へ行けばよいとのことです。
日程が決まっていますのでJAXA公式ホームページ等でご確認ください。
ミニレクチャー
宇宙科学探査の話題をわかりやすく話していただけるそうです。興味のある方は開催日を確認して参加してみてください。
7.宇宙研生協で買える「はやぶさ2」記念グッズ
宇宙研生協入り口です。社員食堂もあります。
残念ながら、日曜日はお休みでしたが、当生協では、はやぶさ2の記念グッズも売ってます。
ガチャもあるよ
子供に人気のJAXAならではのガチャもあります。子供に大人気です。入口右手にあります。
食堂の前には憩いの場がありました。
8.最後に
「宇宙科学研究所に行ってみよう!」と勧める私ですが、すぐ隣だったのに居を構えてから訪問したのはずっと後でした。仕事も忙しかったことも一因ですが、宇宙のことを考えるより目先の細々としたことに忙殺されていたことが主な原因ですね。
今回、足を運んでみて思ったのは、小さいお子さんから私のような中高年の会社員まで、JAXAの事業内容に触れることができるのはとても意義のあることだと感じました。子供はもともと好奇心の塊ですから、言うまでもありませんが、我々大人は、その昔同じように感じて目をキラキラさせていた時期もあったはずです。
仕事に追われいつしか、宇宙の不思議など忘れて日々の生活をすることで精いっぱいになってしまうのはやむを得ないことですが、視点を変えてビジネスとしてのJAXAを考えてみても、得るところは沢山あります。
国家予算を使って、研究員や、所員の方は期限や成果に追われる中、情熱を持って取りくんでおられます。厳しい宇宙環境を相手にして最先端技術を駆使しての宇宙探査は、効率化、費用対効果、新規技術開発などの粋を集めた賜物といえます。
場合によっては現行の技術をいったん白紙に戻し、一から練り直し新規の方法を研究することもあります。また現在正しいとされることを大もとに戻って考え直すということも時には必要になります。
例えば当たり前と考えられている1+1=2ということが正しいということはどうやって証明できるかなどです。この証明はちょっと難しく証明できる人はそうはいないと思います。勿論これはあくまでも例でこれは正しいと証明されています。
言いたいことは、その正しいとされてきた経験則的な法則、例えばエネルギー保存の法則などはそれを覆す実例が示されないため正しいとされてきています。
時にはこういったものを根本から考え直し、仮説を立て論理を再構築し、それを実証することが新しい発見につながり、新しい常識として迎えられることもあるわけです。
また、そうしないことには説明できない事象など宇宙という未知の謎に挑むためには必要な場合もあるといいうことです。
こういったことは我々ビジネスマンもビジネスの世界に当てはめ、よりよい仕事をこなす、あるいは新規起業するということのヒントになることも多々あります。
そして、天体の動きや重力のシミュレーションをするためにスーパーコンピュータを使って計算することも多々ありますが、D-WAVE社を初めとする量子コンピュータが実用化されつつある現在では、近い将来3体問題などの現在では解けない天体の運行をシミュレートすることも可能になるのではと思ってわくわくしています。
以前に読んだ本で、重力を計算するプログラムを処理するためスーパーコンピュータを使わなければ計算できないため、20万円程度で手作りの、特定の計算だけはスーパーコンピュータ並みの速度で計算できるグレープという名称のスーパーコンピュータを作ったことをまとめたものがありました。
現在では先に量子コンピュータを利用して処理すればこういった問題も難なく解決されるだろうと思います。興味のある方は量子コンピュータ関連の本がかなり最近では出版されていますから読んでみてください。
また、「宇宙を解き明かすこと」=「宇宙を数式で表す 」ということであれば数学がそのカギを握っているわけです。
神(創造主)がいるならば神は数学者か?ということ提唱している学者もいます。まさに宇宙を解き明かすということはどう表現するのか、人間が認知できるレベルまで落とし込むとしたら数学で表現することになると思いますが、なんとも謎、謎、謎の無限に興味は尽きない宇宙です。
はやぶさ2は2020年末ころミッションを終了して地球に帰還する予定といことですが、漆黒の宇宙を今も飛び続けて地球を目指す姿を想像しながら宇宙に思いを馳せるのもたまにはいいのではないでしょうか。